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幸い。黄金と変えられる

歌には人生の悲喜こもごもが込められています。そういった悲喜こもごもが自分と重なるなら記憶にとどまります。口ずさむことで慰められ励まされなお感動します。自分の思いをその歌に乗せて告白しているのも同じです。詩篇第16篇はダビデが作った「ミクタムの歌」。ミクタムとは「苦しめられている」という意味もあれば、「黄金の」という意味もあります。苦しみがどうして黄金なのか?この歌には苦しみを黄金に変えてしまう三つの告白があります。とういうことで、7月12日(日)の礼拝は、詩篇第16篇1-11節から、「幸い。黄金に変えられる」と題してメッセージでした。

あなたこそ私の幸いです 2節

あなた以外に幸せはありません!あなただけ!演歌調で歌うとしっくりきそうです。あなたとは主です。ダビデの人生は波瀾万丈。先代の王に命狙われ逃亡生活。同胞の密告、部下の反逆、敵の攻撃容赦なし。あまりの苦しさに気が変になったふりをし、敵の物笑いにもなりました。ダビデは神を神とし、敵は神ならぬものを神としいた。なのになぜこんな極限状態?今の時代、敵味方は別にして、いろんな思想信条が氾濫し、知識常識が流行し、デマやフェイクがあふれている。不安、不信感、疑心暗鬼が渦巻きます。視点も思いも定まらず、自分の立ち位置さえ見失いかねない。ダビデを取り巻く状況、渦巻く人々の言動、自分さえ当てにならない極限状態。その時!はっきり見えてきたものがある!『あなたはわたしの主、あなたのほかにわたしの幸いはない』。人間の酸いも甘いも辛いもなめ尽くした人生の大先輩、ダビデの結論。私たちはダビデのような経験をせずとも、この結論を教えられた。だからまず、そしていつも、この告白に立って日々を送らせていただくのです。

あなたこそ私の嗣業です 5,8-9節

『嗣業』とは「相続地」。ダビデが生きた時代、「幸い」と言えば跡継ぎが生まれるか、土地を得るかでした。逃亡生活中のダビデには全く先が見えず、一辺の土地も家も財産もありません。今の時代も、土地や家は大切です。動かされない財産に価値を置きます。そこに楽しみや喜びや安心、そして幸いがあるように思います。しかし繰り返される災害や家庭の様々な不幸な事件を通して、幸いと思っていたものが、動かされないと思っていたものが、壊れやすく、失いやすく、ゆれ動きやすいものだと経験しています。ダビデもそういうものが全くない、心もとない状態。その時!はっきり見えてきたものがある!ダビデの足もとを支え、岩にも家にも砦にもなるお方。心を楽しませ、魂を喜ばせ、体を安らがせるお方。『主はわたしの嗣業、またわたしの杯にうくべきもの。あなたはわたしの分け前を守られる』。最低の境遇から王としての境遇までなめ尽くした人生の大先輩、ダビデの結論。私たちはダビデのような経験をせずとも、この結論を教えられた。だからまず、そしていつも、この告白に立って日々を送らせていただくのです。

あなたこそ私の命の道です 10-11節

ダビデの時代は、死ねばみんな「よみ」に降ると考えていました。何も持って行けない、先の見えない霊魂の待機場所。しかしダビデは当時としては意外な告白をします。「そこで終わりじゃない。神様はいつまでもよみに放ってはおかれない。『いのちの道』を示して下さる。必ず神様の前に回復して下さる。とこしえに!」と。『わたしは常に主をわたしの前に置く。主がわたしの右にいますゆえ』『あなたの前には満ちあふれる喜ぶがあり、あなたの右には、とこしえの楽しみがある』とダビデ。これって私が神様の喜びであり、楽しみだってことです。私も楽しみ喜び安らぐけれど、主もまた喜び楽しんで下さる。とこしえに!この告白は千年後、現実になります。イエス様が十字架に死んでよみに降られたから。よみの先には「とこしえの滅び」が待機しています。でもイエス様が十字架でその経験を肩代わりされました。その朗報(福音)を告げ、天に道を開くために降られたのです。ダビデはそれを待っていた。『あなたはいのちの道をわたしに示される』。ダビデ渾身の告白!イエス様こそ命の道(ヨハネ14:6)。私たちは、よみをわざわざ経験する必要はありません。イエス様を「あなたこそ私の命の道です」と告白すればよいのです。

ダビデ渾身の三つの告白。イエス様が私たちのミクタム(苦しみ)を十字架の苦しみというミクタムで肩代わりして下さり、私たちを永遠に価値あるミクタム(黄金)へ変えてくれるのです。揺るがない御国を相続するのです。時代も世界も激動の中にあります。しかし私たちはこの三つの告白を持って、丁寧に日々を歩んでまいりましょう。

7月19日(日)の礼拝は、マルコによる福音書第4章35-41節から、「弟子たちへのテスト」と題してメッセージです。


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