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真実な手紙

人間関係がこじれると、何を言ってもやっても裏目に出てしまう、疑心暗鬼になり批判噴出ということがないでしょうか。実際の言動がどうかより、感情で拒絶していないでしょうか。パウロはコリント教会の問題解決のために手を尽くしました。しかしなお関係がこじれました。コリント教会の中にパウロに対する疑心暗鬼と批判があふれました。パウロはその最初の批判にこたえます。ということで、6月3日(日)の礼拝は、コリント人への第二の手紙第1章12節〜24節から、「真実な手紙」と題してメッセージでした。

真実な神様

まずは真実な神様です。12節の『神の神聖と真実』とは「神の純真と誠実」と訳せます。18節の『神の真実』は12節の「誠実」とは違う言葉、ギリシャ語のピストスという言葉が使われています。真実。本当のこと、裏表がない、変わらない、などの意味が含まれます。神様の『しかり』は、イエス様によってすべて『しかり』になりました。「こう」と言って「ああ」なることはない。その神様の真実に対して『わたしたちは、彼(イエス様)によって「アァメン」と唱えて、神に栄光を帰す』るのです。このアァメンは「真実です」というヘブル語です。ギリシャ語のピストスとヘブル語のアァメン。どちらも真実。真実な神様から、真実な言葉が発せられ、真実な出来事が実現し、その実現を「真実です」と告白することによって、神様が賛美され、神様に栄光が帰結する。パウロは、その真実な神様に従っているから私もこの手紙も真実だ、そしてあなたがたも同じ神様を信じているのだから、私を理解してくれるはずだ、そしてお互いを誇りに思えるはずだと記すのです。

真実なパウロ

コリント教会がパウロに疑心暗鬼になった問題の一つがパウロの旅程変更です。パウロがコリント教会の問題解決のために訪問を計画しましたが、結果は随分な変更となりました。真実な神様に従っていると言いながらこの変更は何?真実じゃないぞ!私たちのこと本当に考えているの!「予定は未定であって決定ではない」と世間でも言われます。天候、交通、情勢、体調は刻一刻変化する。予期せぬ事が舞い込む。予定は自ずと修正されます。だからといって「あなたは真実じゃない」と言うか?「仕方ない。でも来られて良かった」とならないか?真実は、予定をその通りこなせたか、ではなく目的が果たされたかどうかで問われるのではないか?私たちは本質でないところにこだわりすぎて、本質を見失っていないか?聖書を見ると、神様も人間の祈りや行動によって譲歩されたり、計画を変更したりなさっています。目的(「しかり」が「しかり」に)は変わらないけれどプロセスを変更する柔らかさを持った神様。それで神様の真実が失われるわけではありません。パウロも常にコリント教会に配慮し、目的を見失うことなく、目的が果たされるための変更を随時加えたのです。

真実なお互い

パウロは最後に旅程変更の理由を語ります。23節の『あなたがたに対して寛大でありたいためである』は「あなたがたを大切にしたい」と訳せます。パウロは理知的かつ情熱の人でした。歯に衣着せず物言う所もありました。コリント教会に乗り込んで断罪し大手術し服従させることも可能だったかも知れない。でもそこに「信仰」「信頼」はありません。支配(強制服従)は何の問題の解決にもなりません。見かけの問題はなくなったように見えても、隠れている本当の問題(誤った支配。パウロはこの問題を後に触れます)に誰も気づかないからです。「私は正しい!あなたは謙遜になって私に従いなさい!」「いや、私こそ正しい!あなたこそ謙遜になって従え!」…どちらも謙遜じゃないですよね。問題解決には真実と信頼が必要です。実はピストスは「信仰」「信頼」の意味でも使われる言葉。神様の示された真実に信頼する私たち。神様の私たちへの信頼に真実を示す(認罪もその一つ)私たち。パウロはコリント教会と少し距離を置くことが適切と判断しました。コリント教会へ絶大な信頼を示しました。あなたがたはよくわかっている。問題に向き合える。乗り越えられる。私はそのための協力者。その労を惜しまない。ピストスな神様をピストスするコリント教会をピストスしたのです。

この手紙はアカヤ全土、さらに今日の私たちにまで届けられた手紙。どの教会にも起こりうる問題がある。だからといって教会が教会でなくなるのではない。世の中と一緒なのでもない。真実な神様の教会です。「しかり」を「しかり」とされたイエス様の御霊が宿る教会です。問題発生もこじれもプロセスにすぎません。真実な三位一体の神様は問題を通して、恵みを得させ喜ばせ賛美に至らせて下さいます。私(牧師)はそのための真実な協力者。そして互いもまた真実な協力者なのです。

6月10日(日)の礼拝は、コリント人への第二の手紙第2章1節〜11節から、「愛の手紙」と題してメッセージです。

 

 


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