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ザカリヤの賛歌

待降節第一週・第二週と主の再臨に思いを馳せましたが、第三週は主の初臨にも思いを馳せましょう。ルカによる福音書では、イエス様誕生の前にバプテスマのヨハネ誕生が記されます。その父は祭司ザカリヤ。ザカリヤの妻はエリサベツ。信心深い老夫婦に子どもはありませんでした。しかし神様はザカリヤの祈りに応えられヨハネ誕生のお告げが!しかしザカリヤはすぐには信じられず、ヨハネが生まれるまで口がきけなくなります。ヨハネが誕生した時、彼の口が解けて最初に出た言葉が「ほむべきかな!」でした。ラテン語で「ベネディクトス」。ここからザカリヤの賛歌は「ベネディクトス」と言われるようになりました。12月13日(日)の待降節第三週礼拝は、ルカによる福音書第1章67-80節から、「ザカリヤの賛歌」と題してメッセージです。

救いは必ず果たされる 68-75節

ザカリヤはアブラハムに始まるイスラエルの歴史を振り返っています。アブラハムは75歳の時、神様の声に従い旅立ちます。彼も老齢で子どもはありませんでした。しかし神様は子どもが生まれ、子孫がたくさん増えると約束されます。それはイスラエル民族という現実になります。しかしやがてエジプトの奴隷となり、神様はモーセを用いてイスラエルを救い出し、やがてダビデによってイスラエル王国となります。しかし国は分裂、滅亡、アッシリヤやバビロンの捕囚となります。神様は大国の王の心を動かし、イスラエルを解放し、アブラハムの住んだ土地へ帰還させられますが、今度はローマ帝国の支配下になってしまいました。しかし!今また、ザカリヤを通して神様は新しいわざを始めようとされていました。アブラハムを始めイスラエルの民は、常に神様の声に聞き従ったかというとそうではありません。「そんなの信じられない」と内心笑ったり、あからさまに拒否したり、異教や大国になびいたり、何度も何度も墓穴を掘り痛い目に遭いました。しかし神様はそんな彼らをあきらめることなく『顧み』『あわれみ』『お語りになったように』『聖なる契約…誓いを覚えて』『救い出』されるのです。ザカリヤの名は「神は覚えておられる」という意味があります。彼が祈っていながら信じなかった願いを神様は覚えて果たされた!彼は自分をアブラハムとリアルに重ねたのではないか?こんな枯れ果てたような私さえ『顧み』『あわれみ』『覚えて』いてくださった!『あわれみ』とは神様の悲しみや痛み、情けや愛情など深い心を表す言葉。この『あわれみ』は、アブラハムにもイスラエルにもザカリヤにも、そして私たちにも変わらないのです。

救われた者には使命がある 76-79節

ザカリヤは『幼な子よ』とヨハネへ呼びかけます。69節の『僕ダビデ』の『僕』とほぼ同じ言葉。「僕」「子ども」どちらの意味もある。当時、跡取り息子でも子どもの時は僕と同じ扱いでした。そして『預言者』として『主の前に先立って行き』『その道を備え』『罪のゆるしによる救を』『その民に知らせる』というヨハネの使命を語ります。『預言者』とは「先を見せる」という意味があります。神様の『罪のゆるしによる救』と将来に及ぶ祝福を語り、『生きている限り、きよく正しく、みまえに恐れなく仕え』る者がどのような者か、人々の先を歩いて「見せる」のです。ヨハネは少し後に生まれたイエス様を、そのようにして人々に先立って伝える使命がありました。そして今、私たちには、少し後に再臨されるイエス様を、人々に先立って伝える使命があるのです。私たちは罪の奴隷から救い出された神の子です。しかし今は子でありながら僕の要素もあります。前回僕の話しをしましたね。一人一人に与えられたタラントを用いて、主の救いと祝福を言葉と行動で表すのです。それは人々の前にあかりをかかげるのと同じです。前々回おとめの話しをしましたね。その努めに生きる中に主は来られるのです。78節後半に『日の光が上から臨み』とありますが、「朝日」を言う言葉です。普通東から輝き始めますが、主の再臨は真上から輝き始めます。『平和の道へ導く』とありますが、当時「ローマの平和」「世界の道はローマに通ず」と言われた時代。しかし主こそ地上のあらゆる支配を越えた真の支配者、平和、救いの道。ザカリヤの賛歌は、神様の救いがそこまで果たされることを預言する喜びの叫びなのです。

歴史は繰り返し世界の闇は深くなる一方に見えます。私たちは『神のあわれみ』を心とし、あきらめることなく『罪のゆるしによる救』をかかげましょう。待降節は一本ずつローソクを増やします。ローソクのあかりは小さな光。でも暗闇ではどれほど安心をもたらすことか。私たちのかかげるあかりを主は決して見逃されず忘れない。必ず主の栄光に包んでくださるのです。

12月20日(日)はクリスマス礼拝。ルカによる福音書第1章39-56節から、「マリヤの賛歌」と題してメッセージです。


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