カテゴリー

信じて向き合う

腹を割って話す。自分の良い面、得意な面だけを見せて話すのではなく、自分の弱さや愚かさ、苦い経験や失敗も見せて話す。それは信頼があるからでもあり、さらなる信頼にもつながるのではないでしょうか。でも隠してしまうとお互い見えなくなります。隠す方はそれで身を守っているつもりかもしれませんが、関係はそれ以上深まらない。信頼の中で理解し、学び、成長し、新たな何かを生み出せるのではないでしょうか。イエス様は常にオープンでした。そして行く先々で人々を教え癒されました。神の子イエス様に不可能はない…はずが、『力あるわざを一つもすることができ』ない事態に陥りました。なぜ?ということで2月21日(日)の礼拝は、マルコによる福音書第6章1-6節から、「信じて向き合う」と題してメッセージです。

過去に囚われている人 1-4節

イエス様は久しぶりに郷里のナザレに帰られました。そこには母マリヤと弟妹たちもいました。父ヨセフは登場しません。すでに死んでいたと考えられます。ここでイエス様が元々大工だったこともわかります。安息日、イエス様が会堂で教え始められると人々は驚きます。これまでもあちこちから流れてくるイエス様の華々しいうわさを知っていたことでしょう。しかし彼らのリアクションは「どうしてこんな教えを語れるの?どうしてこんな知恵がついたの?どうしてこんな力あるわざができるの?」という疑問符ばかり。「この教えは素晴らしい!知恵は素晴らしい!力あるわざは素晴らしい!」という感嘆符ではなかった。彼らはイエス様の過去ばかり見ていました。大工をしていたイエス様。たくさんの弟妹の面倒を見ていたイエス様。彼らの反応から、イエス様は元々大人しいお方だったのではないかと思われます。でも目の前のイエス様はまるで別人。大胆に語り、圧倒的な知恵を現し、力あるわざをなさっている(と噂に聞いている)。驚きを通り越して恐れを感じるほどの変貌ぶり!『預言者は、自分の郷里、親族、家以外では、どこででも敬われないことはない』とイエス様。イエス様や預言者の過去が大人しかったか?やんちゃだったか?いずれにせよ、過去を知る人は、過去に引っ張られやすい。先入観が邪魔しやすい。今のその人に聞くよりも、過去のその人で片づけてしまおうとするのではないでしょうか。『こうして彼らはイエスにつまずいた』。イエス様は何も悪くありません。イエス様はいつでもオープンです。スタンバイオッケーです。今目の前にいるイエス様とコミュニケーションすればいいだけでした。

イエス様とコミュニケーションする人 5-6節

『そして、そこでは力あるわざを一つもすることができず、ただ少数の病人に手をおいていやされただけであった』。イエス様が目の前で、いくら教え、知恵を現し、力あるわざができても、聞かない人、学ばない人、信じない人、求めない人に、イエス様は応えることができません。そういう意味で「力あるわざはできない」のです。彼らは、イエス様の言葉・知恵・力や変貌ぶりに驚いただけではなく、自分たちの変化のあまりのなさにも大きなギャップを感じたと思うのです。レギオンから解放された人と町の人々、十二年間長血を患っていた女性のタッチとイエス様に押し迫りながら歩く群衆、よみがえらされた少女と外で泣き騒ぐ人々のコントラストにも通じるものがあります。イエス様も『彼らの不信仰を驚き怪しまれ』ました。「驚き怪しむ」は「嘆く」という意味もあります。なんて残念なんだ!みなさんは生(なま)のリアルイエス様が目の前にいればすぐさま信じます?弟子のようについていく?郷里の人々のように心閉ざす?律法学者や祭司は閉ざしました。弟子たちにもそういう人がやがて出てきます。イエス様はそんな人の心をよくご存じ。でもキレたり見捨てたり天から火をくだしたりなさらない。あきらめずなお巡り歩き、教え向き合い続けられた。そんな心がまたいつか変わることを願って。

過去の苦い経験を始め、「これを言ったら私のイメージが悪くなる」「この事実を認めたら私の不利になる」「こんなことを話したら証しにならない」「これは誰にも話さず墓まで持っていく」なんてことないですか?身を守っているつもり。安心しているつもり。でも役に立っていない。隠していることが違った形で周りに悪影響を与えている。そういう所こそ、イエス様に聞いていただき、見ていただき、触れていただくべきではないか?「キリストの体」である私たち教会も、お互いの問題を分かち合い、わがものと共有することで、イエス様の癒しのわざが始まる。イエス様と私、イエス様と私たちの腹を割ったコミュニケーションの中に『力あるわざ』は生まれてくるのです。

2月28日(日)の礼拝は、詩篇第26篇1-12節から、「幸い。誠実に歩む」と題してメッセージです。


Copyright © 2010  天授ヶ岡教会 All rights reserved