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宣教のハレとケを生きる

ハレとケ。ハレは非日常の祭り事がある日。ケは日常をいいます。日常生活で何か問題が起こり物事が進まないと「気枯れ」と言うそうです。音的には「汚れ」(「よごれ」とか「きたない」という意味ではない)と同じ。そこで気(ケ)を充電するため、日常にメリハリをつけるためハレがある。ケが基本、ハレ時々。どちらも大切。こういうハレとケ的なものは古今東西いろいろとあります。聖書にも祭り事や日常の様々な様子が描かれています。そして宣教のハレとケも描かれている。3月21日(日)の礼拝は、マルコによる福音書第6章14-30節から、「宣教のハレとケを生きる」と題してメッセージです。

宣教のハレを生きる 14-29節

宣教のハレ。ここではバプテスマのヨハネの殉教です。どこがハレやねん!「生きる」と言いながら死んでるやん!バプテスマのヨハネを殺害したのはヘロデ王。イエス様が誕生された時、地域の3歳以下の子どもを虐殺したヘロデ大王の第4夫人の子が今回のヘロデ。そして父親の第3夫人の子ピリポの妻ヘロデヤを妻としていました。略奪婚。ヨハネはそれを批難しました。罪の悔い改めを大胆に語る彼らしさが伺えます。ヘロデは彼を捕らえますが、彼は獄中でも恐れることなく語ります。ヘロデは彼の『教を聞いて非常に悩みながらも、喜んで聞いて』いました。ヘロデにはないものがヨハネにはある。そこに惹かれました。でも我慢ならないのがヘロデヤ。しかしチャンス到来!連れ子の娘がヘロデとお偉いさんたちの前で舞を舞い、彼を喜ばせ「何でもあげよう。国の半分でも!」と言わせたからです。ヘロデヤは狡猾。ヨハネの首を求めます。娘は『今すぐに、バプテスマのヨハネの首を盆にのせて、それをいただきとうございます』と言って、それを母の元に運びました。娘もえげつない。「罪のない人が殺される」とはまさにこのこと。ヘロデは悩みながらも喜んで保護を加えていたヨハネを、面子のために殺し、娘が舞を舞っただけで国の半分をやると言う。人の命も国も大事に思っていない無責任な男。彼とヘロデヤは、ヘロデヤの兄アグリッパの画策で、皇帝カリグラによって島流しにされ、処刑されたといわれます。ヘロデの支配とその世界。どこを向いても救いはありません。だからこそヨハネだった。獄中は非日常。決して喜ばしいものではありませんが、彼でなければ出会えない人々がいた。そしてそこでも福音が語られた。滅多にないチャンス。これはまさに宣教のハレなのです。

宣教のケを生きる 30節

宣教のケ。ここではイエス様の弟子たちの宣教です。イエス様は弟子を2人1組で宣教実習に派遣されました。彼らの宣教は、日常生活を営む人々に対して行われました。彼らだけではありません。イエス様に出会い、教えに聞き、癒され、解放された人々があちこちで福音を伝えました。それも宣教のケ。それらが巡り巡って『イエスの名が知れわたって、ヘロデの耳に入った』のです。この時すでにヨハネは死んでいましたが、ヘロデの心は再び揺さぶられたのです。「殉教なんていやだ!」と思われるでしょうか。私もです。殉教した人は好きでしたわけではないし、しなければならないわけでもないし、しない人は偉くないわけでもありません。ハレ=殉教とも限らない。私たちにとって肝心なのは、ハレであろうがケであろうが、祝いの日であろうが悲しみの日であろうが、宣教するということです。口でできない?生き様で伝わる。ヨハネもヘロデに何をしゃべったか記されていません。でも生き様はわかる。生き様が最も際立つのがハレ。強い光に照らされて人々の脳裏に焼き付く。一方、生き様がジワリジワリ伝わるのがケ。知らず知らずのうちに人々の心に刻まれる。宣教のハレとケどちらも大切(ケが基本)。また言葉の宣教も生き様の宣教もどちらも大切。しかしその宣教の全体像は、私たちにはなかなか見えません。ですから時に「なぜこんな目に遭うのか?」「なぜあんなミッションがあるのか?」と、理由がわからないこともある。しかしそれらが複合的に絡み合い、私たちの知らないあらゆる人や場所にまで、福音は届けられているのです。

イエス様の十字架と復活は宣教のハレのクライマックスと言えるでしょう。イエス様の支配とその世界は死で終わらない。私たちもどんな形であれ、死を経験します。しかしイエス様の救いに与る私たちも死で終わらない。復活というハレが待っている。新天新地のケ(これもハレ?)が待っている。ハレもケもいずれも生きる。私たちがどう転んでも、どんな死に方をしても、伝わるものがあるなら、何が伝わってほしい?私たちの永遠の祝福を親身になって用意しておられるイエス様ではないでしょうか。

3月28日(日)の礼拝は、ルカによる福音書第23章39-43節から、「一緒にいられる十字架」と題してメッセージです。


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