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カッチカチの心

あなたは「私は頭が硬く、頑固で、心が狭い」と思われますか。それとも「私は頭が柔らかく、融通が利いて、心が広い」と思われますか。頭と言っても、ものの見方や考え方です。多くの場合、時に硬くなったり柔らかくなったり、その時の体調や年齢によっても違います。しかし心が硬くなっていると、表情や体の動きまで硬くなってしまうことってないでしょうか。そして何もかも上手くいかない、と感じることはないでしょうか。イエス様の弟子たちもそんな状態に陥りました。ということで、5月16日(日)の礼拝は、マルコの福音書6.45-52から、「カッチカチの心」と題してメッセージです。

似たような出来事に直面する弟子たち 6.45-48

弟子たちはこれまで、繰り返しイエス様の教えを聞き、わざを見てきました。権威を授けられ実習にも派遣されました。結構手応えのある経験でした。そんな弟子たちが今、ガリラヤ湖上で逆風の中、漕ぎあぐねていました。以前にも似たようなことがありました。『聞く耳があるなら、聞きなさい』というイエス様による集中講義が終わった後、ガリラヤ湖上で嵐に飲み込まれそうになりました。その時はイエス様も一緒。しかも寝ておられた。弟子たちは『先生。私たちが死んでも、かまわないのですか』と、キレ気味にイエス様を起こすと、イエス様は風と波を鎮め、弟子たちにこう言われました。『どうして怖がるのですか。まだ信仰がないのですか』。弟子たちは『非常に恐れ』ました。今回は実習から帰ってきて、ゆっくり休もうとしたら群衆が追いかけてきた。イエス様から『あなたがたが、あの人たちに食べる物をあげなさい』なんて言われ、弟子たちはキレ気味に無理!と反応。イエス様は群衆に食べさせ、弟子たちの翌日分まで用意してくださった。そして今度こそ休みなさい!と弟子たちを舟で送り出されたのです。今回イエス様は陸地です。ところがまた疲労困憊するようなことに!私たちが弟子の立場なら何を思う?「休めと言われても休めない!」「なんで何度もこんなことになるんだ!」。ではイエス様は彼らをどんな思いで見ておられたでしょうか。

求めるべきはイエス様 6.48-51

明け方になっても弟子たちは逆風と格闘していました。なんちゅう体力!しかしさすがに疲れ果てていたでしょう。イエス様はこの時を見計らって、湖の上を歩き、舟を通り過ぎようとされました。物理的に無理?イエス様は天地万物の創造者。設計者(プログラマー)、製造者(エンジニア)、最高権限者(ルーラー)であるキリスト。この世界や人を修復したり、復活させたり、新たに生み出したり、動きや流れを変えることは自在です。そして人間のボディに収まり、様々な制限(お腹が減ったり、眠ったり、傷ついたり、死んだり)も、私たちと同じように経験し、私たちを親身に理解し寄り添うために、この世界に来てくださいました。そんな人にして神であるイエス様を弟子たちは何度も目撃してきたはず。しかしこの時の彼らの反応は「幽霊だー!」でした。私がイエス様の立場なら「お前たちの認識はそんなものか!」とガッカリです。でもイエス様は『すぐに彼らに話しかけ、「しっかりしなさい。わたしだ。恐れることはない」』と舟に乗り込まれ、風はやんだのです。弟子たちはこの時も『非常に恐れた』。『先のパンのことを悟らず、その心が鈍くなっていた』からとあります。この『鈍くなっていた』が「かたくなな」「岩石のように」という言葉。カッチカチの心です。どんだけイエス様とそのわざを見ても、すぐ自分のものの見方・考え方・行動に戻ってしまい、イエス様とつながらない。イエス様は「見て信じる」「体験して信じる」ではなく「信じて見る」「信じて体験する」ことを身につけてほしいと願っておられました。繰り返す出来事の中で、私を思い出し、求め、信頼し、私に安息と安心があることを知ってほしい。その思いがイエス様の言葉に表れています。『まだ信仰がないのですか』。

私たちは繰り返しやって来る問題に疲れてくると、物の見方・考え方・行動が硬くなりがちです。ますますこだわってしまうこともあります。そんな時こそイエス様(いつもイエス様ですが)。「イエス様を求めれば奇跡が起こる!」と言いたいのではありません。「イエス様を信じたのに奇跡が起きないじゃないか!」となると、また頭が硬くなっている。まず奇跡を求めているも同じ。結果がどうなるかわからなくてもイエス様を求め、信頼し、安らぎ、共に歩み続ける。「見て信じる」のではなく「信じて見る」ようになる。『わたしだ。恐れることはない』と手を差し伸べるイエス様に、柔らかい心・頭・視点・行動の全てが詰まっている。その柔らかい心をいただくことは、私たちにとって奇跡よりも必要なことではないでしょうか。

5月23日(日)はペンテコステ礼拝。使徒の働き16.6-10から、「聖霊の導き」と題してメッセージです。


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